この記事で解決できる悩み
✔ キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?
✔ キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用できる事業主とは?
✔ キャリアアップ助成金(正社員化コース)申請の手続きの流れと注意点
『助成金を受給するには、先ずその助成金を知ることが重要です!』
対象の助成金を事前に調べておくことで申請が楽になり、劇的に審査を通し易くすることが出来ます。
しかし、キャリアアップ助成金(正社員化コース)と言われても『イマイチ』ピンとこないし、先ず何をしたらよいのか良く分からないですよね。
そこで、助成金を申請代行できる唯一の国家資格の社会保険労務士(社労士)であり、助成金を専門とする私がキャリアアップ助成金(正社員化コース)について解説します。
そもそも助成金とは?
そもそも助成金とは、国の施策に合った取り組みを実施した事業主に対し、厚生労働省が支援するお金で、その財源は雇用保険料から支出されています。
つまり、雇用保険適用事業所(雇用保険に加入し、雇用保険料を国に納めている事業所)である事業主は、個人事業主でも法人でも助成金を受給する権利があるわけです。
個人事業主の方から、『個人事業主ですが助成金は受給できますか?』といった質問がたくさんありますが、雇用保険適用事業所であれば問題ありません。
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キャリアアップ助成金(正社員化コース)を知る5つのステップ
それでは、ここからはキャリアアップ助成金(正社員化コース)を知る方法について、5ステップで解説します。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の目的
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用できる会社とは?
- どういう従業員がこの助成金の対象者なのか?
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額はいくら?
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するための手続きの流れは?
それではなるべく簡単に詳しく上記5ステップを説明するので、参考にしてみてください。
≪ キャリアアップ助成金(正社員化コース)の目的 ≫
パートやアルバイト、1年の期間契約など有期で働いている契約労働者、また派遣労働者などの非正規労働者を正社員に転換させる取り組みを行うことにより、従業員にとっては雇用が安定することによる安心感が、『もっと頑張ろう!』というやる気や意欲を向上させることができます。
またやる気や意欲の向上は、自身が担当する業務スキルを向上させるといった相乗効果が見込まれ、従業員のキャリアアップを促進させることができます。
一方会社にとっては、会社への忠誠心を向上させ、人財定着の効果も見込まれます。
また従業員のキャリアアップの向上は、事業の生産性を高め、会社の売上アップなどに貢献することが見込まれます。
≪ キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用できる会社とは? ≫
【基本的に必要なこと】
・雇用保険適用事業所(雇用保険に加入している)であること
・法律で定められた書類(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など)を整備していること
【助成金支給申請の前にしていなければならないこと】
・キャリアアップ管理者を配置すること
※キャリアアップ管理者とは、非正規社員のキャリアアップのために目的、期間、実施方法などの計画を立て、実行する責任者
・キャリアアップ計画届を作成し、労働局の認定を受けること
・キャリアアップ計画届で計画した期間中に正社員転換すること
≪ どういう従業員がこの助成金の対象者なのか? ≫
・支給対象となる事業主に通算して6ヶ月以上雇用されている有期契約労働者
・支給対象となる事業主に通算して6ヶ月以上雇用されている無期雇用労働者(※正社員のことではありません)
・6ヶ月以上継続して同一の業務に従事している派遣労働者
・支給対象となる事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、それを修了した有期契約労働者等
※以下はこの助成金の対象とならない従業員です
☑ 正社員として雇用することが約束されて雇用された従業員
☑ 過去3年以内に正社員等として雇用されていた従業員
☑ 事業主や役員の親族(3親等以内)
☑ 支給申請日において、すでに退職した従業員
☑ 支給申請日において、有期雇用や無期雇用への転換が予定されている従業員
☑ (定年制がある場合)正社員転換日等から定年まで期間が1年以上ない従業員
≪ キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額はいくら? ≫
助成内容 | 助成額 | ※【】は生産性の向上が認められる場合の額 | |
中小企業の場合 | 大企業の場合 | ||
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合(1人当たり) | ①有期→正規 | 57万円【72万円】 | 42万7,500円【54万円】 |
②無期→正規 | 28万5,000円【36万円】 | 21万3,750円【27万円】 | |
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用する場合に加算1人当たり28万5,000円<36万円>(大企業も同額)
※ 対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合に加算①:1人当たり9万5,000円<12万円>②:4万7,500円<6万円>(大企業も同額) ※人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換した場合に加算①:1人当たり9万5,000円<12万円>②:4万7,500円<6万円>(大企業も同額) ※ 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定した場合に加算1事業所当たり9万5,000円<12万円>(大企業の場合、7万1,250円<9万円>) |
≪ キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するための手続きの流れは? ≫
※ご相談は無料です。お気軽にご相談ください!
受付時間:平日10:00-18:00(土日祝休み)
運営:社会保険労務士法人リンクス |
① キャリアアップ計画書の作成・提出
従業員のキャリアアップのため、【いつ・どのような取組をするか・誰に対して・キャリアアップの目標・目標達成のための措置・流れ】などキャリアアップ計画を立て、キャリアアップ管理者を決めて労働局の認定を受けます
※キャリアアップに係る取組の前日までに都道府県労働局に提出し、認定を受ける必要があります
※キャリアアップ計画書は厚生労働省HPからダウンロードできます
② 就業規則を変更(未作成の場合は新規作成)し、労働基準監督署へ届出する
就業規則に正社員等への転換方法などそのルールを盛り込み、労働基準監督署へ届出します
※就業規則の届出義務がない10人未満の事業所は、申立書の提出も可能
③ 従業員の正社員等への転換
取り決めた就業規則のルールに従って試験や面接などを行い、試験等に合格した従業員を正社員等に転換させます
④ 転換後6ヶ月雇用を継続
転換前6ヶ月と比較して3%以上賃金の増額が必要です
⑤ 支給申請書の提出
転換後6ヶ月分の給与を支払った翌日から2ヶ月以内に支給申請をします
※【例】給与締日:末日、給与支払日:翌月10日、正社員転換日:4月1日の場合
→ 転換後6か月の給与を支払った日=10月10日
→ その翌日から2か月以内に支給申請=12月10日まで
⑥ 助成金の入金
支給決定の通知書が事業所に郵送され、事業主の指定した口座に助成金が振り込まれます
キャリアアップ助成金支給申請の注意点
☑ 支給申請書や添付書類の内容や書類不備等により、審査に時間がかかることがあります
☑ 申請書や添付書類の内容について不明点があった場合、労働局から追加の書類提出や補正などを求められる場合があり、そのやり取りに時間がかかる場合があります。また、労働局から求められた内容を期日までに対応しなければ不支給となる場合があります
☑ 不正受給を行った事業主は助成金を全額返還しなければならず、返還期日を過ぎても返還がない場合は、別途延滞金等がかかります。また、不正受給をしてしまうと5年間は助成金を受給できません
☑ 助成金の書類は保存義務があり、支給決定後5年間は提出した書類等の写しを保存しなければなりません
☑ 助成金を受給した事業主は国の会計検査の対象となることがあるので、その検査対象となった場合は協力する必要があります
☑ 支給申請日の前日から1年以内に労働関連の法律に違反したことがある事業主は、キャリアアップ助成金の対象になりません。特に残業代の計算方法や年次有給休暇の管理等がキッチリ法令通りに行われているかよく確認が必要です
☑ キャリアアップ助成金を申請すると、労働局は審査のため直接事業所に実地調査する場合があります。その場合は調査に協力する必要があります
キャリアアップ助成金(正社員化コース)受給事例
【契約社員をじっくり見極めて正社員登用し助成金受給したケース】
今まで従業員を新たに雇い入れる際、最初から正社員で雇うのは将来的に人件費の面で不安を感じることや、自社に合わない人材の場合すぐに解雇できないなどリスクが大きいと感じていたため、初めは有期契約社員として採用し、自社に合う人材かじっくり見極めてから正社員登用していたところ、それに伴ってもらえる助成金があることを知りご相談いただきました。
初めに契約社員として採用し、正社員としての資格や能力があると判断して正社員登用する場合、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の要件に該当するためその助成金申請をご提案しました。
有期契約社員を会社の貴重な『人財』として正社員登用できたとともに、自社に合った従業員として見極められたため労働生産性も上がりました。
また、この助成金は従業員6名に当てはまり、6名全員助成金申請したところ、570,000円×6名=3,420,000円受給できました。
まとめ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、数ある助成金の中でも難易度は比較的低めで、非常に人気が高い助成金です。
また、この助成金を活用しながら優秀な人材を確保し、事業の生産性を高め会社の売上アップに繋がることも人気の理由の一つです。
ただし、手続きや要件など頻繁に変更になることが多いので注意が必要です。厚生労働省のHPなどを確認し、常に情報をアップデートしておきましょう!
なお、この助成金について詳しく知りたい方や申請のご相談は、国家資格者である社会保険労務士にご相談ください!
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